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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
わかっちゃいるけどやめられない 2007/02/22

最近、健康に対するある種の強迫観念みたいなものも感じるが、医療・健康の情報番組は主婦を中心に人気が高く、競争が激しいという。そんな中起きた『発掘!あるある大辞典U』のデータねつ造事件には、厳しい反省と検証が欠かせない。

バラエティ番組という「ニュース番組じゃないから」といった制作サイドにもスキがあったのか、裏づけ取材が後回しになる姿勢にも、詰めの甘さがあった。強いインパクトを与えるため映像イメージによって、ドラマ仕立ての過剰な演出もかえって誤解をまねく結果となったようだ。
番組オンエア後、日本中の店頭から納豆が消える騒ぎが起き、それだけの影響力を持っていることをメディア側はどこまで認識していたのか・・・。そんな自覚がなさすぎることが問題なのだ。まさに業界全体の構造的な問題で、テレビだけでなくチェック機能を失ったメディアは怖い。

しかし広い意味では、今回の騒ぎは我々食品流通にかかわる企業にも、その責任があるといえるのかもしれない。なぜなら「これさえ食べれば大丈夫」と、手軽さを求める消費者とそれに乗っかるメディアと売り手という構図が背景にあるからだ。この場合の売り手とはいわゆるメーカー、問屋、小売業のこと。

デフレ消費不況の中、売上アップに頭を悩ます売り手が情報番組で取り上げられた食品を「○○○○で放送した!」のようなうたい文句で手軽に販促に利用していた。情報番組のチェックが販促の重要な役割を果たし、番組で取り上げる食品を事前に伝え、放送前から積極的に販促に関与しているところもあると聞く。
つまり、メディアの影響力が別な意味で認識され、都合のいいように利用されていたのだ。過去にも、ココア、インゲン豆、寒天など、さまざまなブームが浮かんでは消えていった・・・。瞬間的なブームに振り回された後の反動も大きく、当たり前のことだが、売り手は目先の売上に惑わされず、季節に応じた確かな販売力を確立する取り組みが必要だ。

消費者もメディアからの情報や宣伝文句などに踊らされないためにも、自らチェックする力を高めることも肝要だろう。「これさえ食べれば」というものはなく、ひとつの食品に偏らない、バランスの取れた食事のあり方にこそ、もっと目を向けるべきで、結局のところ、食生活全体を考た食べ方次第ということだ。

それにしても努力もせずに、手軽にやせたいと願う人の多いこと。楽な方法を信じたいという気持ちもわからないでもないけど・・・。情報の送り手と受け手の間に了解さえあれば、受ける側は時に心地よくだまされもする。
「わかっちゃいるけどやめられない」
答えがとてもシンプルだということに気付いて少し安心した。


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