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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
土俵の外の横綱 2007/09/19

二場所出場停止などの処分を受けた大相撲の横綱・朝青龍が、母国モンゴルに療養のため帰国して、約2週間が経った。スピード感にあふれた動きと素早い反応で勝ち星を重ねた土俵での姿とは違い、はっきりしない対応のまずさから、自らを窮地に追い込むこととなった。メディアは本人から何も真相が語られないと、周辺の関係者を徹底的に取材して、真実に少しでも近づこうとする。だが、こんな関係を断ち切るのは実は簡単なこと。公の場に出てきて、自身の言葉で我慢強く語ることだ。

そもそも今回の騒動は、朝青龍自身の不謹慎がもたらしたものなのだ。
出場停止の持つ意味の重大さ、親方と弟子の関係を間違えると、角界を揺るがす騒動になることも思い知ったことだろう。きっと自分の気持ちを伝えられないことに対しても、日々苦痛であるに違いない。今後も相撲を続けていきたいと思うのならなおさらだ。こんな簡単な答えを出せずに、ボタンを掛け違えた原因は、利点の利く側近がいなかったことだと思う。土俵では自分だけが頼りで、横綱になったら自分の力だけで頂点を極めたと勘違いしても無理もない。人生をささげた土俵に、もう一度立ちたいという気持ちも強いだろうし、俺はまだやれる、まだまだ稼げる・・・とも、思っているだろう。だが朝青龍は、ここ一ヶ月もの間、まったく体を動かしていないのではないか。相撲の世界はそんなに甘くはないはずだが・・・。
今回の騒動をきちんと清算し、生まれ変わったニュー朝青龍を披露できるか。横綱にとって必要な「心技体」のうち、朝青龍には「心」の成長を相撲ファンは期待している。

一方で力士の国際化が進む中で、弟子への教育がいかに大切かを今回の騒動が示してくれた。
親方たちは、まず強くするための稽古を優先し、相撲界に古くから伝わる考え方を教えることを後回しにしてしまいがちだ。もはや特定の師弟関係による過ちと、限定的に決めつけないほうがいいかもしれない。
これから先も秩序と伝統に支えられた文化価値を持つ相撲を引き継いでいくには、組織として相撲協会が指導力を発揮すべきで、その前提として親方によるしつけの徹底が必要だろう。
しかし、伝統も現代という時代の中でしか生きられないことを考えると、グローバル化の流れもあり、片意地に伝統に固執することには無理がある。
多くの人があぜんとした朝青龍の前代未聞の行動を、相撲界全体で今後どう進展させ決着させるのか、是が非でも見届けたい。

それにしても前代未聞の異常事態、責任の放棄、説明不足と覚悟不足、何をやってもマスコミに叩かれる、理由は体調不良・・・。
先日退陣した安倍晋三元首相とどこか共通するものを感じるのは、私だけであろうか。


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