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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
生涯一企業の正社員 2008/01/18

ワークスタイル多様化時代と言われて久しいが、現代社会では正社員、パートの他に、契約社員、派遣社員からフリーターのアルバイトまで多種多様である。学校を卒業してすぐに就職し定年まで勤め上げる“生涯一企業の正社員”という働き方は否定こそされずとも、働き方を語るうえでの“ものさし”では無くなっている。新卒で入社した会社で一生勤め上げる、というのははるか昔の話。いまは新卒入社組の3割が3年以内に退職すると言われる時代だ。おそらく今年の新社会人も「チャンスがあれば転職するつもり」と考えている人がほとんどではないだろうか。今後はワークスタイルの多様化のみならず、ライフスタイルの多様化にも対応した人事システムが求められていくことだろう。

そんな中、当社では昨年12月末をもって、1人の古参社員が静かに退職した。勤務期間は、2年前の定年から勤務延長して昨年末まで実に46年にも及ぶ・・・。まさに当社一筋、忍耐の人だ。なんと私が生まれる前から、当社で働いているのだ。若い頃、何度もやめようと思ったという。でも、家族がいるから頑張ることが出来た団塊の世代。持病(ぜんそく)があったから、他の社員より体力で劣った。それでも、必死で汗を流し、勤め上げた。朝は早く起きて、他の社員より早く出社。休んだり、遅刻したり、早引きしたり・・・、そんなことが嫌いだった。

最後の日、女子社員より花束を手渡され、感極まり声を詰まらせる・・・。「大勢の人たちに支えていただき、無事この日を迎えることが出来ました」彼のこの言葉から始まる挨拶には、まさに“やり遂げた”というそんな簡単な言葉では追いつかない“時の重さ”を感じる。

「企業の不祥事が続いていますが、これからも本業を大切にし、みんなで力を合わせて頑張ってもらいたい」「商売は屏風とよく似ているといいます。無理に広げすぎると倒れてしまいます。何事もほどほどがちょうどよいのです」ウェットで情感あふれた日本的感性が彼らしく寂しさを苦笑いでごまかした・・・。「これでほんとに辞めるんだなぁ」と思ったが、その日は特に感慨は湧いてこなかったとのこと。長い現役時代を振り返り、「この会社で働くことが出来て本当に幸せでした」と、語ってくれた。

こんな風に社員を見送る・・・。
儀物が横行し、安易に結果だけを求めがちな時代。
彼のひたむきな努力の大切さは、どれだけ若い社員たちの心に響いたのだろう。それは決して理屈とか、評価とかいう合理的な方法が確立されていない“生き様”といったところか・・・。
そういえば、これまでの人生で“やり遂げた”ことが、何かあるだろうか?
あなたも一度、そう自分に問いかけてみませんか。


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