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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
さらば広島市民球場 2008/07/12

プロ野球球団「広島東洋カープ」が本拠地としている広島市民球場は、1957年に広島の戦後復興のシンボルとして、当時の英知を集結して突貫工事で建設された。その後は電光掲示板(スコアボード)の改修、内野2階席の増築、壁面の塗り替え、雨漏りへの対応など、できる限りの補修を重ね、ここまで何とか凌いできたが老朽化は止められない。建設から50年あまりの時が経ち、観戦に訪れるたび、その歴史の深さを痛感させられる。

広島市民球場に変わる新球場は、JR広島駅のそばの貨物ヤード跡地で建設されている。そもそも新球場建設が実現したのは、2004年頃から湧き上がった球界再編騒動がきっかけとなったことは、やはり無視できない。球団や地元の人々の間に危機感が生まれたことが始まりだった・・・。地元の市民グループや有識者が新球場の必要性を訴え始め、それに後押しされる形で、行政が新球場建設に踏み出した。プロ野球球団は地元の宝物で経済効果も期待できる。そんな球団を維持するには、みんなが力を合わせるしかないのだと・・・。

だが、まず新球場ありきの考え方は危険だと思う。ただでさえ球団経営の現実は、年々球団格差へと移行して厳しさが増している。
人気球団の巨人や阪神の年間予算が、なんとカープの約4倍規模と聞いてビックリ・・・。
豊かな資金で即戦力の選手を集める球団と、それができない球団とに二極化する戦力格差も生んでいる。また、有力選手のメジャー流出も今となっては止めることはできないだろう。
今後は、選手が移籍することを前提に球団は運営をするべきで、それを新たな選手の発掘と育成の機会とする必要がある。高騰する有力選手の年俸、伸び悩む観客動員数、活発化するフリーエージェント対策、絶対的戦力不足解消、カープ球団を取り巻く環境は決して球場が新しくなったらといって劇的に変わるものでもない。

危機が叫ばれて久しい日本のプロ野球。どこの球団も魅力づくりへどうつなげていけばいいのか、試行錯誤が始まっている。
国際化の中、日本の野球ならではの魅力とレベルをいかに維持発展させるのか。今こそ知恵と努力を集結し、真剣に日本のプロ野球の将来を考えるべき時だと思う。
それはまさにグローバル化が進む中での、現在の日本社会そのものといえる。

広島市民球場では最後のシーズンとなる今季こそ、カープはファンの熱気に応える試合を見せてほしい。半世紀に及ぶ広島市民球場の歴史のラストを飾るシーズンにふさわしい結果を期待したい。
今年で歩みを止める広島市民球場で刻まれた栄光の歴史が、これからも長く語り継がれていくことを願っている。

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今シーズン限りで役目を終える広島市民球場


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