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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
賢明な判断とは 2008/12/03

昨日、今年の流行語大賞が発表になり、天海祐希さんの「アラフォー」とエドはるみさんの「グ〜!」が選ばれた。「グ〜!」はさておき、「アラフォー」が選ばれるとは、ちょっと意外だった・・・。
そんな中、世間では大規模な食品メーカーによる商品の自主回収が相次いでいる。この‘自主回収’こそ、今年の流行語大賞の候補にあがってもいいと思っているのは、私だけではないはずだ。しかし、今の日本流のやりすぎた対応を見ていると、いくら今年の流行語大賞だからといってグ〜!と、親指を突き出すことはできない。

理由は様々だが、とにかくちょっとしたことで、どこの食品メーカーもすぐ情報開示し自主回収に走るのが今風だ。食品メーカーにとって、食品の原材料や成分や、どこでどうやって製造されたのかをはっきりさせることは、重要な責務である。それゆえ、何かしらの疑わしき事実が確認された以上、それを消費者に隠したままにすることはコンプライアンス(法令遵守)の観点から許されないというのが一般的な考え方である。しかし、どんな場合でも単純に当てはめてしまうことが“懸命な判断”といえるのだろうか。

実際にはたいした危険のないものまでも、情報開示し自主回収したが為に混乱や誤解が生じてしまうこともある。報道の仕方によっては、その食品メーカーだけでなく、業界全体に対しても悪影響を与えてしまうこともあり、イメージダウンは計り知れない。また、回収した商品の廃棄処分は、資源の浪費や環境問題からも許しがたいものだ。
これだけ毎日あちこちで大規模に自主回収が行われることが、ほんとうに消費者の要請に応えているといえるのか疑問だ。

食に関する情報開示の在り方について、消費者はいったい何を求め、社会はどんなシステムを望んでいるのだろう。消費者が拒絶したかどうかに関係なく、すぐ自主回収して問題を収束させる日本流のやり方が最近どうも気になって仕方がない・・・。単純に法令や規則を守ればよいという考え方が徹底されると、実質的な意味を考える余地がないまま、本来の意味合いを超えて社会全体へ機械的に伝わってしまう。それがかえって間違った商品知識を植え付けてしまうこととなり、正しい商品選択を妨げている。食の安全に関する問題において、日本国内でとられている対応は、あまりにも極端な方向に走りすぎているので、消費者に余計な不安を与えてしまいがちだ。

危険性の程度を食品メーカーが具体的に分かりやすく開示することで、消費者へ冷静な対応を呼びかける努力もひとつの方法ではないだろうか。なんでもかんでも自主回収というやり方が、食品メーカーとして“懸命な判断”とは到底思えないし、責任を果たしたともいえないと思う。
今年も残すところあと一ヶ月。
今年はムリでも、来年こそ食品メーカーとしての“懸命な判断”を期待したい。


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