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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
今を生きる 2009/02/26

たとえばの話、突然医師から難病であることを告げられたとしたら、その後の日々をどう過ごせばいいのだろう。あきらめず苦難を乗り越え、「生きること」に前向きになれるだろうか。
難病を克服した軌跡のシンガー・ソングライター、アンドリュー・マクマホン率いるジャックス・マネキンの2ndアルバム『グラス・パッセンジャー』には、そんな言葉にできないリアルなメッセージが詰まっている。
ただ漠然と日々を費やしがちだけに、あらためて生きる意味を問い掛けられたようだ。

1stアルバムのレコーディングを完了した直後、アンドリューは急性リンパ性白血病であることが判明する。その後の壮絶な闘病の様子を映像で記録した「Dear Jack〜The Journey of Andrew McMahon」という、ドキュメンタリーも用意されている。今を精一杯生きている姿は衝撃的で、一度は死を覚悟した彼は家族、恋人、友人の支えにより、「生きる証」を残すため、ふたたび曲作りに没頭した。
ファーストの実験的なサウンドは影をひそめ、奥行きのあるどれもシングルカットできそうな曲ばかり。
“自分が生きていることを確認するために、ただ光が必要なんだ。他には何もいらないないんだ。”と歌う1stシングル「The Resolution(僕の生きる証)」は感動的で、2ndシングル「Swim(スウィム〜あきらめないで)」も好評。今年の来日ツアーのチケットもあっという間に完売するという人気ぶり。アンドリュー・マクマホンのメロディー・メーカーとしての才能がはじけるノンジャンルな作品がテンコ盛りの逸品。

彼は、政治がどうの、世界がどうの、という議論に背を向け、あくまでもひとりの人間として自分がどう今を生きるかという問いに真正面から向き合う。ことさら“愛”と“挫折”は商売になりやすい。その状況下で、このバンドの音は、切実さと共に、歌うことが有効だと信じている素直さが出ていて、めちゃくちゃ前向きで、一生懸命、素朴で、つんのめっている。アルバムからの印象はこれである。

私たちは、子供の頃から競争原理の中に放り込まれ、大人になってからは、忙しい忙しいと日々の生活に追われ、巨大な資本主義社会のひとつの歯車として生きることを余儀なくされてきた。
安っぽい正義感を振り回す政治家への失望。それを扇動する一部のマスコミの暴走。知らぬ間に格差へと追い詰めている社会。浮薄な現代の世相を告発しつづけるインターネット。グローバル経済の錯覚に翻弄される日本経済。
そんな今の厳しい時代を生き抜いていく人々におすすめのこのアルバムには、今を生きる喜びがうらやましいほど満ち溢れている。

私たちにとって、幸福な人生とは何だろう?答えは様々だが、何かに没入できた人生は幸福だといえる。あるいは、何か生きていた証を残せた人生が幸せと言ってもいいのかもしれない。
「誰にでも今しかできないことってきっとあるはずだ」
今に至る人生の出発点は、実はここにあるのではないだろうか、と気づかせてくれたこのアルバムに拍手!

画像

THE GLASS PASSENGER  / Jack's Mannequin


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