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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
マスクがないっ ! 2009/05/29

新型インフルエンザの初の国内発生が神戸で起きてから2週間。重症例はなく、死者も出ていない。今回のウイルスは感染力は強いが、毒性は弱いらしくひと安心。
だが、今回の新型インフルエンザに関する報道の仕方をみて、その伝え方の難しさに誰もが疑問を感じ、困惑したはずだ。もともと当初からこの問題には、“不安”の2文字がつきまとい、扱うべき情報そのものに重苦しい空気を感じていた。
どうやら私たちは、情報伝達の多様化により、“病気”がもつ本来の症状以上のものを抱え込んでしまったようだ。

「患者を守ること」と「社会を守ること」、すなわち個人情報保護の観点と感染拡大防止の折り合いをどうつけるか。インフルエンザのように感染症の場合、全体像を把握するためにも、情報の開示を担うメディアの役割は重要だ。
今回のように感染をめぐる一方的に過剰な報道であおるメディアの動きには、ある意味それ自体に“ウイルス”がバッと感染していく様と変わらない怖さがある。
繰り返し感染状況をしらみつぶしに追いかけ回しながら、「冷静に対処しましょう」と呼びかけること自体に、まるっきり反対の印象を与えているかのように感じる。

人間であるはずの患者をウイルスそのもののような「感染源」ととらえたり、感染した患者をまるで「犯人」のように扱ったり、ただの入院なのに「隔離」などという言葉で表現することは、不当な偏見につながる。メディアの報道が浮き足立てば社会はそれに同調して混乱する。
こっちのほうがよっぽど“ウイルス的”で危険だと思うのだが・・・。

さらに言えば、どんどん繰り出される休校要請に、企業の出張自粛、それから旅行を見合わせたりと、もうエスカレートする一方。それらに「どこか違うような気がする・・・」と感じているのに、反発するほどの寛容さもなく、それどころか「マスクを買わなければ・・・」という衝動に駆られる。
ところが、感染拡大の余波からマスクの品切れが相次ぎ、まったく需要増に対応しきれていない状況をテレビで知って、ますます不安になる始末。
新型インフルエンザに感染する前に、“報道ウイルス”とでも言うべきウイルス的なものに感染してしまっている感じ・・・。まったくといっていいほど冷静さを欠いている。
マスクの着用、きちんとした手洗い、人ごみを避ける、など感染予防策の基本は今も昔も変わらない。この騒動が沈静化し、再び街がにぎわいを取り戻すのはいつのことだろう。

だが肝心のマスクでは、“ウイルス”の意味合いを超えた“ウイルス的報道”の存在を押さえることはできない。ウイルスのような感染症の場合、過剰なメディアの報道から冷静に自分自身を守ることも大切だ。
『メディアに対する免疫力を高めること』
これこそが今回のような騒動から自分の生活を守る最高の予防手段と成り得る。
必要なのはマスクだけではないことは確かだ。

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各地でマスクは品切れ状態


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