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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
スローフードってなに? 2009/06/17

「食事ぐらいもうちょっとゆっくりとれば・・・?」

私たちは、日頃からハイペースな生活に追われ、食事の時間を大幅に縮めることで時代の流れに、必死でしがみついて生きてきた。現代社会では、スピードが重宝がられ、すべて経済的、効率的という建前の豊かさにすり替えられているような気がする。
まるでコンビニにでも行けば、我々の‘欲望’のすべてが棚に並んでいるかのような錯覚すら押し付けられている感じ。
いくらユンケルを飲んでもイチローにはなれないし、どんなにフライドチキンを食べたからといって鳥のように飛べるようになるわけでもないのに・・・。
こんな私たちが暮らすニッポンという国は、本当に豊かな国といえるのだろうか。

最近、テレビや新聞やネットなどでもよく取り上げられ話題にも上るようになった、“スローフード”いう言葉。
スローフードとは、「郷土料理や伝統野菜を守る」「質のいい素材を提供する小生産者を守る」「子供や大人にじっくり味の教育をする」ことを目指す活動。多忙で表面的な私たちの食生活に待ったをかけるこの活動が、今世界中に広がっている。
それは、画一的なファストフードの広がりで、人間が本来持っているはずの繊細な味覚が減退することを防ぐために、昔から伝わる郷土料理の温もりと風味を守り、地域に根ざした人間らしい豊かな生活の構築を目指すことでもある。
ただ漠然と食べるのではなく、時間をかけて口に運んでいる食べ物について、この際じっくり見直してみようという提案のひとつだ。

私は食に関しては、身体に取り込むものだからこそ、もっと“保守的”であるべきだと考えている。
そのためにも、まず生産者の顔が見えるものであってほしいと思っている。
得体の知れない素材を使った大量消費加工食品を、バクバク頬張るような食生活に待ったをかける運動、それがスローフードの考え方でもあるのだ。
とはいえ「頭ではわかっていても、物理的に(時間もなくて)むずかしい」というのが、生活者の本音ではないか。このジレンマをいかに解決するかは、スローフードをテーマに開発や販促を進めるメーカー、量販店、流通業者などの今後の大きな課題だろう。

今後ますますファストフード化する世界に待ったをかけ、スローフードがつくる新しい世界を広げることができるだろうか。
現代社会の傾向として、トレンドをパッと生み出して、すごいスピードで消化し、あっという間に過去のこととしてしまうということがある。ニッポン人は流行りもの、ブランドものに弱いので、スローフードも一過性のものになってしまうのではと不安だ。
ちょっとニッポン人は真面目すぎるところがあって、スローフードを学ぼうと思うと楽しさとかを越えて、いきなり勉強みたいな形になってしまいがちだ。
でも、スローフードっていうのは楽しく生活を過ごして、ゆっくりと暮らして、ゆっくりと食べながらの活動だということを忘れてはいけない。

スローとはまさに「ゆっくり」。言葉どおりにいえば確かにそうだ。でも、言葉の質感を出すためにもスローフードのスローを「じっくり」と訳してみたらどうだろう。
そうすれば、もう少しスローフードな暮らしが広く世の中に、行き渡っていくと思うのだが・・・。
『スローフード』
大人の立場からも、子供たちに是非とも伝えておきたいことのひとつですね。


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