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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
いいんですか? 2010/04/19

色黒でお酒が大好き。おばさま達に絶大な人気の司会者と言えば、ご存知`み○○○○´氏、その人だ。主婦を中心に視聴者を強引に引きつけるその話術は「朝ズバッ!」などのワイドショーの司会に、うってつけだ。
番組では日々の出来事や政治,経済,芸能ネタにバッサバッサと切り込んでいく。そして、ここぞという絶妙のタイミングで、ゲストにコメントを求める。一瞬足りとも気が抜けず、ゲストもたまったもんじゃない!

`○の○○○´氏は番組進行のテンポのすべてを握り、女子アナを‘君づけ’で呼ぶことのできる数少ない大御所司会者なのだ。
お決まりのパターンは、予め用意された巨大なパネルのテロップを、効果音と同時に見事に剥がしながらトークを進行していくスタイル。その剥がしっぷりは、実にすばやく芸術的といっていい。そして、自分で答えを知っていながら、ちゃんと最後に「へえー」と言うところが真骨頂である。

`○○も○○´氏の口癖は、「皆さん、いいんですか?」「ちゃんと見てみましょう」「絶対、許せません!」などである。すぐに視聴者を生徒に、自分を先生にしてしまうような関係をつくりあげてしまうところはお見事だ。確かに、既存メディアであるテレビの役割は過剰な情報を選択し、判断し、意味づけをして視聴者に提供することだ。そういった意味では議論の枠組みがはっきりしていてよくできている。最近の複雑なニュースでも`○○○ん○´氏の庶民的な目線は視聴者にとっても楽かもしれない。

だが、まるで時代劇の「悪を懲らしめる」という‘御裁き’に似た番組の手法に、問題を抱えているようにも思える。これは`○○○○た´氏本人の問題ではなく、番組の構成上の問題ともいえる。視聴者に分かりやすくするため、「善」と「悪」をちゃんと区別し、白黒ハッキリさせる。確かに分かりやすい。しかし、毎回都合よく悪役が見つかればいいが、無理やり悪役を仕立てることにもなりかねない。たびたび番組内での行き過ぎた発言や報道があったとして批判を浴びたこともあるようだ。

真実には時に残酷なものがあったりする。たとえ、映像や証言がある物事でも、報道されてることと実際に起こったことは違うことも多いし、分かりにくいこともある。だから、目の前にある事実や知識だけで、すぐに物事を判断できない。いろんな事情が渦巻いていて、簡単に割り切れないことも多い。実は本当のことこそ、分かりにくいものだ。

ちょっとしたことで誰でも状況次第では「悪」に成り得るのが今の時代。これは本当に悪なのかという問い掛けは、いかにもそういった問い掛けにふさわしい存在にではなく、どこから見ても「悪」としか考えられない真に邪悪な存在に対して使われてこそ、初めて意味を持つのではないか。
「いいんですか?」の連発を聞くことで、視聴者がカタルシスを感じ、いつの間にか解決したような錯覚に陥り、問題の本質を見失うおそれもある。
世の中、そう単純ではないと思うのだが・・・。


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