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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
なにがなんでもカープじゃけぇ 2010/08/11

真夏のマツダスタジアムには、観客があふれかえっている。1対0でカープがリードのまま、いよいよゲームはクライマックスを迎える。9回表2死満塁の絶体絶命の大ピンチ。しかもカウントは2ストライク3ボールのフルカウント。次の1球が勝負の分かれ目。どうしてもあと1球、投げなければならない。

汗がだらだら目に入る。うおおおおぉぉという歓声が聞こえる。これはもう人間じゃない、スタジアム全体がひとつの‘生き物’となってうなり声をあげてるみたいだ。だれもがみんな、はやく投げろ!と思ってるはずだ。
どうなっちまうか見せろ!、はやく決めてしまえ!うおおおおぉぉといううなり声は、次第にホラ、ホラ、ホラ〜という響きに変化して聞こえてくる。

はやく投げなきゃ、でも何を投げればいいのだろう?頭の中はさまざまな思いが駆け巡り、すでに爆発寸前だ!キャッチャーのサインも汗でよく見えない!監督、交代させてくださいと泣き出すことも、とても投げれませんと帰ってしまうこともできないまま、歓声だけがどんどん大きくなってくる。
ホラ、ホラ、ホラ〜!

そこでハッと目が覚める・・・。汗びっしょりになって、心臓がドキドキしている。夢の中での自分は、いつの間にかピッチャーをやっていて、バッターとの勝負というより、スタジアムというか、プロ野球全体と戦っているみたいだった。きっとひどい顔をしていたはずだ・・・。

カープの試合には、いつもこんな夢に出てくる9回の抑えピッチャーみたいに、どこか張りつめた緊張感のようなものを期待している。
なのに最近ではそういう緊張感がなくなってしまったことが悲しい。ただ、あっけらかんと投げ、あっけらかんと打ちかえす。そして負けても次の試合がある・・・。所詮、上位球団に勝てっこないし、下位球団のカープは弱いとやる前から決まっているのだ・・・、だから、負けることにも慣れてしまった。
あぁ、それにしても、今シーズンも弱い、弱すぎる・・・。

今シーズンのカープの試合を見ていて、プロ野球セ・リーグの戦力格差が、かつてない規模で進んでいるのではないかと思う。カネがものを言う戦力補強、つまりお金がある球団によい選手が集まるという流れだ。経営上の「大球団」と「小球団」という二極化で、取り繕う余地はない。上位球団と下位球団にシーズンを通して固定化され、カープには絶対的に戦力が足らない。1988年以来、Bクラスが続いているカープの低迷の主な原因もそこにある。

というわけで、「どうしたものか」と、今日この頃。いや、私が悩んでも仕方がないことだが、ふと気づいたことがある。
セ・リーグの戦力格差は都市の規模の差で、その体力差は埋めようがないのではないか。都市規模が違う以上、巨人や阪神と互角に張り合える訳がない。
これって、カープだけじゃなくて、広島という県や市、そしてニッポンという国の話でもあるんだ。

さて、昨日マツダスタジアムで阪神戦を観戦。7対6でカープがなんとか勝利。私の観戦した今シーズン公式戦は4試合。これで2勝2敗となった。新しくなった球場(マツダスタジアム)の華やいだ雰囲気が好きで、シーズンになると5〜6試合を観戦する。
大声で応援し、ジェット風船を飛ばし、外野からのウェーブで立ち上がる。日常生活では得にくくなった高揚感と一体感。そうした心地よさも、球場に足を向ける理由の一つになったのかもしれない。
成績が落ちると観客も潮が引くように減っていく。そんな「冷たさ」もあった依然のカープファンだが、どうも様子が違う。負けが込み始めても、スタンドではにぎやかな声援が続いている。
球場に集まるファンは、もう一度強かった頃のカープを待ち望んでいるに違いない。

ホラ、ホラ、ホラ〜!
観客は、緊張してだれひとり席を立とうとしない。そのピリピリした空気の中、勝負の行方をだれもが見とどけるつもりなんだ・・・。
9回表2死満塁、カウントは2ストライク3ボール。打席には相手チームの4番バッター。こうなったらもう投げる球なんかなんだっていい。
たとえ夢の中だろうと、ありったけの“気持ち”を込めて、ど真ん中に思いっきり投げ込んでやるぜ!

「なにがなんでもカープじゃけぇ、のぉ〜!」


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