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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
イデオロギーの時代の終焉 2011/01/12

先行きの見えない経済の低迷や空転する政治。時代が混迷する中で幕を開けた2011年を、私たちはどう生きていけばいいのか。
社会全体が右肩上がりに成長する時代は、とっくに終焉を迎えている。今や資本主義は、普遍的な現実になった。だが、その普遍性は謎めいており、しかも混乱と不安の源泉となっている・・・。

誰もがわかっているはずなのに「量的拡大がすべてを解決する」という観念から、いまだに逃れられないでいるニッポン。そのため、従来型の経済成長のための戦略が打ち出され続けている。しかし、残念ながら目標が達成されることはなく「現実とのギャップに苦しんでいる」というのが、今の世の中ではないだろうか。これは過去のニッポン経済を支えていた成長パターンそのものが風化しているという証だ。
人口減少、超高齢化社会、そして経済停滞が改善しそうにない現在のニッポンは、新たな時代の移行期とも呼べるフェーズにあるのでは・・・。
だとしたら、私たちニッポン人が、そんな時代に持つべき価値観を思索するために必要なものとはいったい何なのだろう。

グローバル化が進む中、我々ニッポン人は米国から「市場経済に基づく新自由主義こそが唯一絶対の善」と教え込まれた。市場の「自由の女神」には逆らえず、ニッポン人はマネーゲームに走り、結果リーマンショックで金融危機を招いてしまった。
今確かなのは、文明の共生や地球環境など多くの地球的命題を考える時、格差と混乱を生みやすい自由放任の米国型市場経済では無理があるという事実だ。新時代に向け、脱「米国依存」からの発想が求められているのは間違いない。米国経済のサクセスストーリーの時代は、とっくに絶頂期を過ぎている。

今やグローバル経済の中で資本主義だの社会主義だのいっている国々は、イデオロギーという概念の対立をこえた共通の方向に向かおうとしている。イデオロギーという言葉は死語になりつつあり、もはや資本主義だの社会主義だのといった枠組みだけでは収まりきれなくなってきた。もっと別のまったく新しい秩序というか、哲学というか、根本的な概念を世界は求めているのではないか。
機能不全に陥りつつあった既存の秩序や慣習から脱し、新たな枠組みを模索する「創造的破壊」の動きが、様々な分野で広がっているグローバル社会。
そうした変化に対応するためには、我々にも「抜本的な発想の転換」が必要だ。

大きく勢力地図を塗り変え、変貌を続ける世界経済の仕組み。だが昔の夢から醒め切れていないニッポン。まるで出口が見つからず、さまよっている感じ。
ニッポン企業が、長期的にみてステークホルダー全体が利益を得られる仕組みを確立し、なおかつ世界市場で欧米や中国に負けない競争力を持つにはどうしたらいいのか。簡単には、答えは見えてこない。
だが、ニッポン社会全体が、今までの価値観を打ち破って、新しい仕組みを求めていることは確かだ。イデオロギーの時代の終焉は、それを暗示しているような気がしてならない。
いずれにしても、過去の華々しい記憶から脱する時が来たようだ。


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