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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
隣国との付き合い方 2011/03/10

今年になってニッポンは、1968年以来維持してきた「世界第2位の経済大国」の座を中国に明け渡した。
近年、中国の所得水準は向上著しい。世界経済に変動はあっても消費への熱意は衰えず、市場はますます細分化し、成熟化しつつある。中国という国は外交配慮を見せることなく自己主張を強めて、多少の摩擦よりも国内を優先して強引に物事を進めていく。このことからも、中国が米国に代わって世界経済を牽引している構図が浮かび上がってくる。ニッポンの隣に突如として現れた世界最大の消費市場。この市場にニッポンの企業はどう挑み、いかに戦っていくべきなのだろうか。

少子高齢化やデフレに苦しむニッポンに対し、人口13億人といわれる中国は当面、高成長を維持するとみられる。この成長をニッポンの企業も取り込む方法を探るべきかもしれない。だが、順風満帆に見える中国経済にもリスクは必ず潜んでいる。無視できないリスクのひとつは、すでに中国の不動産市場で発生しているといわれるバブルではないだろうか・・・。

バブルってヤツはどこかの時点で必ず崩壊する!

ニッポンが80年代後半に経験した「大衆消費社会」、即ちバプルが、今の中国を包んでいることは紛れもない事実だ。
同時に貧富の格差の拡大やインフレ、公害問題など急成長のひずみも目立つ。ひとたび矛盾が噴き出し、社会や経済が混乱すれば、わが国をはじめ世界中への影響も大きいことを自覚すべきだろう。もはや、ニッポンも米国も、そして世界も中国なしには生きられない。その中国が動揺すれば、自分たちの足元が揺らぎかねない時代を迎えようとしているのだ。

いわゆる「チャイナリスク」への懸念である。

急速な経済成長は格差社会を生み、むき出しのエゴイズムと利益追求主義を生んだ。「人民の共和国」でも、他方では「貧者を喰らう国」である。共産党一党独裁体制の下で、むしろ成熟しきれない姿が露呈した格好だ。
だが、私たちは人が陥りがちな上から見下すような態度の危険性を十分に認識し、中国の抱える多くの矛盾を決して対岸の火事として扱ってはいけない。
むしろ厄介なのは、米国経済の弱体化と重なり合っていることである。つまり、世界の多極化という「ポスト・アメリカ」の時代の始まりと中国の世界的台頭とが、ほぼ重なり合って、世界はますます不透明な様相を呈しつつあるのである。

急成長を続ける経済を背景に国防予算の伸び率もハンパではない中国。公表された数字は疑問だらけだが、今や米国をも脅かす立派な軍事大国である。
どんな国も経済大国になれば、必ず軍事大国にもなるものだ・・・。だか、ニッポンは戦後、経済大国にはなったが、決して軍事大国になる道を選ばなかった。このことは国際的に、もっと評価されるべきだと思う。
実はここにニッポンの進むべき道があり、「失われた20年」を取り戻すことにもつながるヒントがあるのではないだろうか。そう考えるとニッポンには、まだまだ伸びしろがありそうな予感がする。

今後もニッポンと中国の関係を海外のメディアも注目しながら報道することだろう。両国のあいだには、いくつもの懸案が山積しているのも事実だ。
時に暴走しかねない隣国と対等に付き合っていくためには、今こそ腰を据えた戦略性が求められる。
それは、急成長の危うさを理解しつつ、本来あるべき成長の姿を見極めることではないだろうか。


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