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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
ありきたりの日常 2011/06/17

画像高橋歩の代表作

エッセイスト、プロデューサー、写真家、旅人、冒険家、起業家、父親など、いろんな肩書を持つ自由人“高橋歩”。
この人、日常を楽しむ天才なのかもしれない。
自由で風通しのいい生き方を大事にしながら、こんな風に毎日を家族といっしょに暮していけたらどんなに楽しい人生だろうか。
だが、私たちの現実の居場所は、涙あり、笑いありの波瀾万丈でファンキーな、ありきたりの日常。とても彼のような生き方を通すのはむずかしい・・・。

そんな彼の作品を読むたび、「何という自信だ」と密かに舌を巻く。
日常の風景を切り取ったような彼の言葉は、詩のように、歌のように、じわりと染みてきて、世界を捉える目と、それを表す言葉の力を感じる。また、独自の視点で日常をスケッチしたような写真を使うところには、読者を思わずうなずかせる説得力と、ほっとさせるユーモアが宿っている。
この人には日常が変わるようなファンタジーを書く気など、全くないのだろう。きっと変わらない日常が好きなんだと思う。
彼の作品は、言葉+写真で構成されたものが多く、あっという間に一冊読むことができる。

たった一行のセンテンスで読み手を日常の中にある冒険の世界へとさらっていく。
どこにも偉そうな言葉は出てこないまま、すいっと、高橋歩ワールドに入っていけることだろう。この軽さ、力の抜け具合。読者をうならせようとか、ましてや感動させようなんて下心がない感じ。そのくせ、身近な題材に正面から向き合うその目は冷静で、一編たりとも真剣さに欠けるものがない。
ひたむきに自分らしさを追い求める高橋歩の生き様から、百の言葉より一の行動の大切さを痛感させられることだろう。今のニッポンに最も欠けている‘感覚’を彼の作品たちは、まざまざと見せつけてくれる。
それが文章の面白さだとすれば、高橋歩の作品は、どれも自分らしい人生を見つめるヒントを与えてくれるものだ。結局、自分の人生を楽しくするかどうかは自分次第。軽妙なのだけど俗気がなく、泥臭く、あくまで低い目線でとらえられた日常雑記と呼べる作品たち。実際には、平凡という言葉すら無用なほどに当たり前なものばかりだ。

ドラマチックな出来事が起こらなくても、めくるめく季節のように、日々私たちの心や身体は変化していく。そして、大きな希望や夢もないまま、それでもやってくるその日その日を私たちは何とかこなしていこうと前を向く。ありきたりの日常だけど、その静けさがいい。
そして、改めて気づかされるのだ。

「ありきたりの日常の中、夢がかなわなくても、世の中は生きるに値する」ことを・・・。


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