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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
経理の仕事が見えにくくないですか? 2011/09/26

正直、現在のようにすべてコンピューター化が進んだ経理業務の中、事務員が一人前に育ってくれるのか不安になります。仕事のやり方や在り方が常に変化していく時代において、その過渡期で経営者なら誰でも抱える悩みであり、課題なのかもしれません。

ここ15年ほどの間に経理に携わる事務員の働き方は大きく変化しました。以前であれば、社内で机の上に広げた書類や事務員たちの動きを見れば、誰が何の仕事をしているかは、いちいち聞かなくてもすぐに分かったものです。それが今では、説明を受けるまで、今やっている仕事内容や事務員の誰がいつ何の仕事を担当しているのかも、分かりにくくなってきています。

現在の事務員の動きを見ていると、ほとんどの時間をパソコンの画面の前で過ごします。画面を見たまま手はいつもマウスとキーボードの上にあるのです。ペーパー書類が回ってきて、それを処理することはありますが、作業は常にパソコン上で行われます。画面にはいくつものウインドウが開いていて、数秒でコロコロ替わるので、結局パソコンの画面の中を覗き込まない限り、何をしているのか理解するのは困難です。

最近では伝票や帳票だけでなく、預金通帳や現金まで、コンピューターの中の世界へ入っていきました。さらに日本の伝統文化である印鑑も、‘パスワード’に姿を変え、コンピューターの中に消えていきました。これから先、もっとデジタル化が進み、あらゆる情報がコンピューターの中に隠れていくことでしょう。

結果としてすべてがシステム化され、全体の流れや仕事の目的など大切な部分が見えなくなり、業務の問題発見が遅れたり、周りの人が何をやっているのかわからなく不安になるといった不都合が現れることになるかもしれません。企業であれば今後の対策として、「経理の見える化」に取り組むことは、もはや待ったなしの状況です。

確かにコンピューター化された表面的な仕事だけを見てしまうと、すべての仕事がガラッと変わったかのように感じます。しかし、経理事務においてコンピューター化されたのは、記録や計算などの事務処理の部分だけです。実は、経理の仕事の本質は何も変わっていないのです。

仕事を進める過程において、情報の管理やシュミレーション作業などについては、コンピューターを利用するようになりましたが、最終的に結果を検証し、内容を分析し、良否を判断し、次の行動の意思決定しているのは人間です。また、業務処理の効率を考えて、やり方を改善したり、コンピューター化していくのも人間なのです。

経理の仕事がコンピューター化されていく中で、次の世代の経理担当者へ引き継いでいくことで重要なのは、事務処理のやり方だけではありません。経理としての会計情報の判断基準や、資金管理の考え方、将来の変動リスクのとらえ方、経営者への報告の仕方、などについてが最も重要なことなのです。

企業文化として引き継いでいくものは、会社によって違います。会社によって大切にしているもの、つまり価値観が違うからです。当社において次の世代に残していかなければならないものは何でしょう。
それは、単に情報の伝達にとどまらず、情動的な共感である人と人との「コミュニケーションの在り方」ではないでしょうか。
経理業務が見えなくなってしまわないように、大切な会計情報の判断基準や会計管理の考え方を社内でしっかりと共有するためには、何より「コミュニケーションの在り方」が重要だと考えています。


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