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社長のコラム しゃコラ



社長のコラム、通称“しゃコラ”
こぢんまりと生き抜く 2012/01/05

昨年の東日本大震災や原発事故は、ニッポンという国を根底から揺さぶり、改めて私たちに‘危機の時代’の在り方を問い直した。ニッポンが、ひとつの時代の分岐点に立ったことを強く感じる。
終戦のようなインパクトを持つ震災は、ニッポン経済を再び活性化する新時代の出発点なのか、あるいは、ニッポンという国が衰退したキッカケとして世界に記録される着地点なのか。

ひっそりと幕を開けた2012年。国の舵取りが、より重要な一年になるような気がする。さて、そんな2012年をどのように生きていこうか。

ニッポンは、90年代初頭のバブル崩壊から今日まで“失われた20年”を過ごしてきた。その間に世界経済におけるニッポンのプレゼンスは、おもいっきり低下してしまったようだ。思えばバブル全盛の頃、世界中どこへ行ってもニッポン・メーカーの商品を見かけたものだ。TOYOTA,HONDA,SONY,Canon,Panasonic,Nintendoなど外国人が憧れたニッポンブランドが溢れていた。だが、現在では自動車産業はグローバル化の波に翻弄され外国へ生産拠点を移し、家電製品の有力ブランドは韓国や中国にとって代わられている。急成長を見せるスマホ市場においても、ニッポン企業の存在感は低下している。ニッポンの経済成長率は急低下し、格付けは下降気味。国際社会の中で「日本病」という言葉すら生まれてしまった。
それだけ、ニッポン経済がバブル崩壊に伴うバランスシートの調整に苦しんだということだと思う。

だが、この20年でニッポン企業は自力で不良債権の処理や、過剰な生産能力のストック調整を行ってきた。ニッポン企業はやらなければならないことを着実に実行したのだ。その結果的としてニッポンの社会は今、確実に縮み続け、様々な問題を生んでしまった。かつてなかった少子高齢化の波は地域の活力を奪い、医療や防犯、人々の支え合いといった暮らしのセーフティーネットまで細り続けている。そして人々の格差不安は膨らみ、回復の道を見いだせない状況は続く・・・。

客観的に今のニッポン経済は、戦後最悪の状態に近いのではないか。政治家は議論しているけど、すぐに誰かがケチをつけて、つぶしてしまうことの繰り返し。今の政治家に危機感と覚悟はあるのだろうか。国が明確な指針を何も与えてくれない状態が続いている。これで若者に「希望を持て」「一生懸命生きろ」と言うのは、無茶な話だ。若者だけじゃない、多くの人が、今をどう切り抜けるかということを強いられている。

ここ数年、社会から受ける緊張感みたいなものがすごい。反発して、押し返して、なおかつ生きていくということは、ほとんど至難の業だ。緊張感を和らげ安心感を得ることは、将来も含めて自分の道筋を考えた時に出てくる。それに、大人も子供も国もリアルに直面している。だが、安心感の定義は、捉えどころがないくらい広い。なかなか答えが見つからない問いに誰もが向き合い続けている。

もっと知識や行動範囲を広げたいというのは、誰にでもある。だけど、こんな不透明な時代の中でやろうとしても出来っこない。
一人より二人、二人より三人と拡大するのは、安心できるが、ほとんど無効に近い。私個人の考えを言わしてもらえば、経済がどう転ぶかわからないこういう時期は、大きく大きくと拡張しようとせず、小さく小さくと考えた方がいいんじゃないかと・・・。できるだけこぢんまりというか、経済の今後をしっかりと見つめるためにも、そういう考え方もあると思うのだが・・・。

今年は小さく小さく。このような時代を、こぢんまりと生き抜くことは、決して悪いことじゃないと思う。


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